仕事を頑張りすぎて過労死したり自殺したりうつ病になったりするニュースを見ると、死ぬくらいなら仕事辞めたらいいのにって誰もが思います。
だけど当事者の立場になると、そう簡単にはいかないんですよね。
私がまだ看護学生だった頃、病院実習に行っていた時の話です。
ストレスのコップ
人が耐えられるストレスには許容量があります。コップみたいに。
コップの大きさは人それぞれで、すぐにいっぱいになってしまう小さなコップの人もいれば、大きなコップを持っている人もいます。
コップにまだまだ余裕があるときは、ストレスがあっても耐えられます。
ところが十分に休まないで無茶な働き方をしていると、コップに水がどんどん溜まっていきます。
コップがぎりぎりになくなってくると、それまでなら平気だったちょっとしたストレスでも物凄く辛く感じるようになります。
気分が落ち込んだり理由もなく涙がでたり何もしてないのに動悸がしたり、普通の状態ではないと自分でもわかってはいます。でもまだなんとか頑張れる状態。
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つらい
実習行きたくない
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毎日そう思っていたし、朝自転車で病院に向かっている途中「車に轢かれて死んだら楽になるかな」なんて考えることもありました。
でもまだなんとか頑張れる状態であるがために、実習に行ってしまうんです。
実習に行かないと看護師になれない。そんな強迫観念もありました。
そうやって同じような生活を続けていると、そのうちコップがあふれてしまいました。
ストレスと疲れが限界だった上に睡眠不足が重なり、朝起きると高熱が出ていたのです。
そしてそれまでも持病で定期的に通院してはいたのですが、ついでに持病までもが悪化してしまいました。
病院に行ってそのまま緊急入院、結局1年程休学して療養することに。
この経験からわかったこと
無理して実習に行っていたとき、実習に行く以外の選択肢なんてまったく考えられませんでした。
でも長期間休んでわかったことは、休んでもどうってことないってことでした。
実習に行かないと人生が、世界が終わってしまうような気がしていたけど、何も変わらずやっぱり世界は続いています。
なぁんだ、と拍子抜けしました。
こういう感覚を誰かがこんなふうに表現してました。崖から落ちないように必死にしがみついていたけど、いざ手を放してみるとふかふかした芝生の上にふわりと着地した、って。まさしくそんなかんじです。
とは言っても、すぐにそんなふうに思えるようになったわけではありません。
入院してから数日は早く学校に戻らないとという焦りがあり、1か月くらい病院で何もせず休んで疲れとストレスが癒えてきてようやく自分の状況が見えるようになってきたのです。
それくらい「行かなきゃ」という思い込みは強いものでした。
みんな、普通の人生のレールから外れるのがこわい
これは看護学生の実習という立場だけでなくて、すべての働く人に通じると思います。
忙しいから仕事を休めない。頑張らないと。
そう思い込んで過労死したり自殺したりするところまで追い詰められてしまうのですが、実は休んだっていいし、仕事を辞めたってどうってことないんです。
それなのに休めないのは、実は仕事が忙しいからではなくて、みんなと同じ道から外れたくないから。普通の人生のレールから外れてしまうのが怖いからです。
でもね
体を壊して人生のどん底に落ちた自分の経験から言わせてもらうと、ちょっとくらい寄り道しても全然平気!です。
しんどいときは休んでもいいし、仕事を辞めるのだって思ってるほど怖いことではありません。もう少し力を抜いて、おおらかに生きてもいいと思います。
ちょっと道を外れてみると、そこには新しい世界が広がっているだけなんですから。
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