看護師の皆さんは、特に大きな病院などで働いていると1度は看護研究という壁にぶつかると思います。
大学を卒業している人は、卒業論文で看護研究をして、よくわからないまま苦手意識を持っている人も多いのではないかと思います。
また、臨床で働きながら通常の勤務外で作業しなければならず、面倒くさいものと思っている人もいるでしょう。
そもそも看護研究とは何なのかということ自体、曖昧なままの人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、看護研究をする上で1番大切なテーマの決め方についてお話してみたいと思います。
そもそも看護研究ってなに?
看護研究とは
日々の業務の中で疑問に感じたことをテーマとして、よりよい看護を実践していけるように研究すること
です。
例えば1つの事例を取り上げて、看護について検討していくのもいいですし、アンケート調査を実施して現状について考察するのも研究になります。
また、研究目的を明らかとしたうえで業務改善を行いその前後での看護の質の向上についての報告も看護研究と言えるでしょう。
テーマとして向いてないもの
あまりにも壮大なテーマ
忙しい業務の中で行う研究ですから、あまりにも壮大なテーマは不向きです。
結果を出すのに何年もかかるものや、病院内外を巻き込んでの研究などは、臨床で働きながらする研究としては現実的ではありません。
本格的に研究をしたいのであれば大学院への進学をおすすめします(笑)。
看護師の役割から逸脱したテーマ
また、研究したいことが看護師としての役割から逸脱していないかということにも注意が必要です。
看護師の役割は日常生活の援助と診療の補助ですので、疾患や診断にかかわることをテーマにするのは、看護研究とは言えません。
そういわれると、じゃあ何を研究したらいいの?となりますよね。次にテーマはどのようにして決めればいいのかお話します。
テーマはどうやって決めるの?
まずは難しく考えずにご自身が日ごろの業務の中で疑問に思っていることや、もっと改善したいことを取り上げましょう。
どんな小さな疑問でもよいのです。
看護研究テーマの例①
化学療法を受けていて、悪心・嘔吐でとても辛そうな患者さん
少しでも楽にしてあげられることはないのかな?と思いますよね。
そこで看護師にできることは、抗がん剤の成分を調べて薬を開発することでも、吐き気のメカニズムについて研究することでもありません。
現状起きている吐き気に対して、どのような援助をしていけば、より患者さんが安楽に過ごせるかということを考え実践することです。
また、必ずしも患者さんを対象にする必要はありません。
看護師を対象にアンケートをとったり、行動変容を研究したりすることもできます。
看護研究のテーマの例②
病棟で転倒・転落のインシデントが多発している!
何が原因なのだろうと考えますよね。
そもそも入院患者さんに高齢者の方が多いから?
看護師のマンパワー不足?
いろいろな要因が考えられます。
転倒・転落のインシデントを減らすためにできることは何でしょう?
高齢者の入院を拒否するとか、看護師の採用を増やすとかは現実的ではないですよね。
看護師にできることと言ったら、環境整備をすることや、マニュアルを検討・整備すること、KYTの学習会を開くことなどでしょうか?
そういったことを研究的に進めていきます。
KYTの学習会を行った前後でのアンケート調査で、看護師の意識がどの程度改善されたのかを調査するのもよいでしょう。
看護研究のテーマ選びのコツは「普段、疑問に思ってること」
このように臨床現場での
なんでだろう?
どうしたらもっとよい看護ができるだろう?
という疑問を複数取り上げてみるといいと思います。その中で、実際に研究可能なテーマを選んでいきます。
わざわざ研究しなくても、本を読めば解決することは研究には向きません。
また、患者さんを対象とする場合、倫理的に問題がないかを相談する必要もあります。
なんだかとても難しい話だったように思いますが、単純に自分が疑問に思っていることを解決したいという気持ちが大切です。
看護研究はテーマが決まったら半分以上は終わったものと考えていいと思います。
それくらい、テーマ決めは難しく皆さん苦労すると思います。
看護研究は、大きな研究をしなくてもいいのです。
何か壮大な発見をすることを目的としているわけではありません。
患者さんのために、また看護師自身のために今よりもっとよりよくしていくために、疑問に思ったことを解決するための研究をし、大切なのはその研究結果を業務に役立たせることです。
そのために研究をするのだということを忘れないようにしましょうね。
この記事を書いた人
ニックネーム:けんとも
大学病院で勤務後、大学院進学し現在は子育て奮闘中です。子供と共に通える保育園で保育園看護師としても働いていました!今後は、大学教員を目指して頑張り中
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