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ICU/集中治療室看護のつらさから見えたこと。感情労働にどう向き合うか?

2020 5/01
ICU/集中治療室看護のつらさから見えたこと。感情労働にどう向き合うか?

こんにちは。

私は新人〜3年目までICU/集中治療室で看護師をしていました。その後、出産を機に部署を異動しましたが、当時、つらくて辞めたいと思う気持ちと、一方で、やはりICU/集中治療室の看護に魅力を感じて続けるに至っていました。

今日は、実際につらかったこと、というテーマでお話したいと思います。

目次

ICU新人時代(1年目)で辛かったこと

魅力ある、とはいえつらいことが多かったのは事実です(笑)

新人の頃、1番最初につらいな、と思ったのは勉強面です。

基本的な看護技術。

に加えて、全ての診療科が入室対象のため、全科に渡る疾患の勉強。

単に疾患のことを学ぶだけでは看護できないので、観察のポイントやデバイス類の管理方法などあらゆることを勉強しました。

朝早いのに夜遅くまで勉強するのは大変でしたが、やらないと次の日の受け持ちについて先輩にたくさん聞かれるので必死にやっていました。

この点は、大変でしたが今思えば誰しも勉強をやる時期に、幅広く取り組めたのはある意味ラッキーだったので、つらかったけれど良かった点でもあります。

合わせて、どこの部署でもありますが最初は点滴の交換から体位交換から、全てが先輩と一緒でないとやることができません。

そのため、先輩も受け持ちがある中、声をかけてやること、先輩に来てもらわないとタスクが進まないことはストレスでした。

ICU看護師2年目に辛かったこと

2年目になると、いろいろな面で余裕が出てきます。

自立し余裕がでてきた2年目

必要な看護技術も自立し、1人で受け持ちをするようにもなります。

もう点滴交換や血糖測定のために先輩を呼びに行かなくてもいいのです。

業務にかかる時間は大幅に短縮されます。

「看護」についても考えられるようになります。

急性期の医療において、生命の維持や蘇生が重視され、おいていきぼりになる患者さん本人の意思や家族看護のこと。

リハビリや栄養、排泄などのこと。1年目の時には見えなかったことが見えるようになり、やりがいも持てるようになっていきます。

これで仕事も楽々〜・・・

とはいきませんよね。

自立する分だけ責任は自分にかかってきます。

自立したとて所詮2年目、わからないことも多い一方、2年目だからわかるよね、という空気で聞きにくくなります。

結果、インシデントが起きやすいのもこの時期です。

これはICU/集中治療室に限らず、どこの部署の看護師でもそうですね。

それでもやはり、集中治療の場におけるインシデント、と思うと負担感が大きかったです。

余裕がでてきたからこそ出てくる新しい悩み

また、やりがいや看護について考えられるからこそつらいと思うことも出てきます。

それは、上記のような「患者さんの意思決定」や「家族看護」、「リハビリ」など、考えられることができても、実践が伴わないことが多かったからです。

本当はもっといろんなケアをすべきだと思う一方で、日々の業務をこなすことで精一杯の現実。

検査にいき、点滴を更新して、ルーティンのリハビリをして、清潔ケアをして・・・あっという間に勤務交代。

とにかく、ケアは時間内に終わらせて、記録のために残業して・・・という日々が繰り返されていました。

こんなこと、続けたくない、そんな気持ちも頻繁にあったのもこの時期です。

重症の患者さんが毎日当たり前のように入室しては、多くは数日で退室していきます。

人工呼吸器で苦しそうなのも当たり前、ドレーンだらけで動けないのも当たり前。

意識がない方を転がしながらの全身清拭。

お話できない患者さん、ベッド上から動けない患者さんが多いのもICU/集中治療室の特徴の1つです。

これは、一般病棟で勤務した時にとても強く感じたギャップです。

本当はこんな患者さんたちだからこそ、本人の思いや意思をもっと汲んだケアをしなくてはいけなかったのに・・・

また、私はどちらかといえば、「引きやすい人」だったのでたった2年の間にも緊急入院や急変にかなり当たってきました。

急性心筋梗塞や、再挿管など、起こるかもというリスクとして教えられることは多いと思いますが、実際に当たってみると「本当におきるんだ」とショックを受けます。

とりわけ、再挿管となった患者さんは、再挿管も困難を極め、血だらけになりながら先生と2人で必死になったという症例で、今でもあの凄まじい光景とショックな気持ちが忘れられません。

ICU看護師3年目になって見えた「感情労働」との向き合い方

3年目になり産休に入ってしまうのですが、それまでに少し意識を変えたことがあります。

看護師は「感情労働」と言われています。

それは、私のように重症度の高い患者さんに向き合うことで起きる感情や、元気な患者さんに理不尽なことを言われたときに起こる感情や、時には元気になって退院していった患者さんに対して起こる感情など、様々です。

そのコントロールが難しいと、バーンアウトや仕事に対する鬱感に繋がり、看護師の職を離れてしまうことになってしまいます。

つまり、この「感情労働」にどう向き合うかが、看護師の仕事を続けられる1つのポイントにもなると考えました。

看護師は感情労働。私なりの対策

私がとった対策は、とにかく思いを溜め込まないことでした。

こんな患者さんがいた、こう接してつらかった。そんな思いを先輩や同期にたくさん聞いてもらいました。

そして、ただ感情を吐き出すのではなく、そう思ったからどうすればいいのか、自分には何が出来るか、そこまで考えてみることにしました。

私にとってはこれが効果的で、日々起こるショックな出来事に対しても、良い意味で耐性をつけていくことができたと感じています。

まとめ

たしかに、ICU/集中治療室看護は、つらいことやショックなこともたくさんあるところだとは思います。

ただし、看護の世界においてこんな事例はどんなところにいてもあるものかな、とも思います。(一般病棟でも急変ってありますしね。)

大事なのは、いかにそれに向き合うか、ということです。

単純にぶつかり合ったり、逃げたりするのではなく、「自分がつらいと感じることを肯定」し、「自分になにができるか」そんな視点で看護のつらいことに向き合える方が増えたらいいな、と思います。

この記事を書いた人

ニックネーム: リッツ
一言: 集中治療室、外来と振れ幅の大きい部署を経験。全く違う部署で見えてくる看護を面白いなーと思いつつ、子育ても楽しみたいので産休に。次はどんな看護をするんだろう?と復職を楽しみにもしています。

この記事を書いた人

看護師として働きながらWebサイトを運営しています。自分らしく働くことを応援しています。

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