患者のために自分を犠牲にして一生懸命頑張る。
どんなに辛くても患者さんのために頑張って、患者さんの笑顔で報われる。
これが私の看護師のイメージです。
しかし!患者のためにそこまで一生懸命になれない。
看護はあくまで仕事。
患者のために毎日頑張ってるけど、正直なところ、自分の生活も大事。
そう思っている人、いるのではないでしょうか。
私がそうです。
仕事で看護師をやっているだけで、仕事中あまり「患者さんのために」なんて献身的なことは考えません。
「患者さんのために」1時間も前から出勤したり、サービス残業するのが当たり前とも思いません。
ボランティアではなく仕事。なので毎回1時間も前にこないと仕事が回らないなら業務改善するべきだし、残業したら残業代払うべきでしょ。そんなこと考えてる自分はほんと情けないなぁ、看護師に向いてないなぁと思います。
だけど、あくまで看護は仕事とクールに切り離して考えていることも、悪くはないと思います。
理由は
- やることをきちんとやっていれば優しさは関係ない
- 優しそうに見えても、内心どう思っているかは不明
- 一生懸命やっているように見える人は、能力が足りないだけかも
- 感情的に仕事をすると、好き嫌いで患者への対応が変わることがある
- 変に理想論を振りかざしたり高い意識を持ちすぎると、バーンアウトすることもある
というところです。
やることをきちんとやっていれば優しさは関係ない
私が新人の頃、師長が「最近目やにがついたままの患者さんが多いけど、家族が見たら悲しむからお顔をきれいにしてあげてほしい」と言ってました。
私はそれまで患者の顔に目やにがついててもあまり気にしていなかったのですが、それを聞いて「たしかにそうだな」と自分の至らなさを反省しました。
それ以来患者さんの顔はいつもきれいにするようにしています。身だしなみも整えます。
それを見て時々「優しいね」と言われることがあります。ありがとうと言ってくれる人もいます。
ですが、別に優しさとか思いやりとかそんなのではないです。ただ新人の頃師長からの一言で、やるべきこととして認識されただけのこと。
逆に優しい気持ちが人一倍強くても、何もしていないなら優しさは何の役にもたちません。
別に優しさとかそんなのなくても、やるべきことをやっていたら関係ないと思います。
優しそうに見えても、内心どう思っているかは不明
さらに、表では患者に優しい言葉をかけていても、詰所に帰ってきたとたんにその患者の悪口を言ったりしている看護師もいます。
優しそうに見えても、内心どう思っているかは不明です。
そういう光景を見慣れすぎてもうなんとも思わないのですが、優しさとか思いやりといった内面が大事というのならそういう人こそ失格だと思います。
一生懸命やっているように見える人は、能力が足りないだけかも
いつも一生懸命な人は、能力が足りなくて無駄な動きが多く、人一倍仕事しているように見えているだけの可能性もあります。
仕事のできる人は常に先を予測して備えているので、余裕があって、落ち着きもあるのでパッと見一生懸命感はあまり出ません。
感情的に仕事をすると、好き嫌いで患者への対応が変わることがある
優しさとか思いやりの感情で仕事をすると、かわいらしい患者には自然と優しくできますが、嫌いな患者には冷たくしたりちょっとしたことでも「自分でしろよ」と反感を持ってしまうこともあります。
どんな患者であれ、好き嫌いで対応に差が出てしまってはプロとしては失格。感情は抑えて仕事と割り切ってクールにこなすほうがいいこともあります。
変に理想論を振りかざしたり高い意識を持ちすぎると、バーンアウトすることもある
看護師は基本、無茶な勤務です。夜勤があるからしんどいと言うけれど、日勤も十分きついです。私は3連勤までならなんとかやれるけど、5連勤があると本当に死ぬほどしんどかったです。
それに加えてプリセプターやら委員会、看護研究、勉強会主催などの仕事も加わってきます。勤務時間内でこれらに割く時間はないので、夜勤明けに残って仕事をしたりするようになります。
それだけでは言い表せないきつい仕事ですが、「患者のために」と高い意識を持って頑張り続けることで、バーンアウトしてしまう人もいます。
今回のコロナでも、バーンアウトする人がいました。ちょっとどこで読んだのかは忘れてしまったのですが内容は
これまで自分はどんなに辛くても患者のために頑張ってきた。が、今回のコロナでもう頑張る意味を見失った。
これまで自分が関わってきた患者はみんな、病気と真摯に向き合っていた。自分はそういう人のために頑張ってきた。外出自粛を無視して遊びに出かけてコロナに感染した人。なんでそんなやつらのために頑張らなければいけないのか。
外出自粛を無視してコロナにかかる勝手でバカな人は、病気に真摯に向き合う人とは違う。そんなやつらのために自分の命を感染リスクにさらしてまで頑張ることはできない。
ということでした。コロナをきっかけに看護師を辞めた、もう看護師に戻ることはないとつづられていました。
患者さんのためになんとか踏ん張って頑張ってきたのが「勝手な行動をしたやつら」がきっかけでバーンアウトしてしまったのだと思います。
これを読んで私が思ったのは、これまで自分が助けてきたのは「病と真摯に向き合ってきた患者だった」と患者を美化して、外出してコロナにかかる勝手な人と区別していること。
私は人というのはそんなに単純ではないと考えています。病気の人がみんな病に真摯に向き合っているわけではないし、一人の人の中にそういう一面もあれば、そうでない一面もある。だからこそ、医療者は目の前に困っている患者がいたら、とにかく助けるんです。
限界なんてとっくに超えたところで頑張るためには、患者を病と真摯に向き合う人と美化して、看護は崇高な仕事なんだという幻想をもたないといけない。
その幻想の世界の中にどっぷり浸かっているうちは頑張れます。だけどひとたび、自分は何のために、こんなに辛い思いをしてまで頑張らなければならないのかと疑問に思ってしまうと幻想の世界が崩れます。
幻想が崩れてそれまで意味を見出してきたものに意味を感じられなくなると、もう頑張れなくなります。それがバーンアウトです。
バーンアウトをしないためには、ある程度仕事と割り切り、頑張りすぎないこと。自分のできる範囲で、無理しすぎない範囲で頑張ることです。
あまり高い意識を持ちすぎると自分で自分を追い詰めてしんどくなります。変に高い意識やプライドを持たず仕事として淡々とこなす人のほうが、潰れにくい看護師になります。
まとめ。看護師に優しさや思いやりはなくても大丈夫
そんなわけで、優しさとか思いやりとかは、別になくても看護師としてやっていけます。
看護師はすごい仕事だ、崇高な仕事だと高い意識を持つ人よりも、そんなに期待しないで仕事として淡々とやっている人のほうがバーンアウトしないで長続きします。
それに看護師はすごい仕事なんだ!って高い意識を持って頑張る人は、すごいとは思うけどもちょっとめんどくさいです。プライドが高くてややこしい人である確率が高い。
看護師も数ある仕事のうちの一つ。と広い視野を持っている人のほうが、人としては打ち解けやすかったりします。
仕事として看護師をしている人はわりとそのことに劣等感を持ったり看護師向いてないと思っていることもあるので、案外そんなことないよ、というお話でした。
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