夜勤がきつくなった
子どもが小さいため日勤のみの仕事を探している
高齢者の看護に興味がある
このような理由から、介護施設の看護師として働くことを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特別養護老人ホーム、住宅型有料老人ホームで働いてきた看護師RIHOさんが、働き方のちがい、大変だったこと、やりがいなどについてお話してくださいました。
特養と有料老人ホーム、それぞれの働き方のちがい
特別養護老人ホームの特徴

まずはじめに、特養ってどんなどころか確認しましょう
社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な施設。
入居できるのは65歳以上で要介護3以上の人です。

特養は終身に渡って介護が受けられます。そのため寝たきりや認知症などの比較的重度の入居者さんが多いです。
食事や内服介助、医療的ケアが必要な方が多く、看護師の業務も多かったです。
私が働いていたところは、夜間はオンコール勤務で、介護スタッフからの相談に対して指示を出したり、必要時は出勤したりと対応していました。
小さいお子さんのいらっしゃる方が働くには厳しいのかなと思いますが、オンコール対応なし、日勤のみで雇ってくれる施設もあるみたいです。
有料老人ホームの特徴
有料老人ホームは特養と違って公的な施設ではなく、主に民間の企業によって運営されています。

有料老人ホームにはどんな人が入居されてますか?

特に決まりはなく、ホームによって異なります。自立の方から要支援、要介護の方まで幅広く入居することができます。
私が働いていたところも杖を振り回すくらいピンピンしている方から寝たきりの方まで、幅広い方が入居されていました。
夜間の看護ケアが必要な入居者さんは受け入れていなかったので、夜勤業務はありませんでした。
日中には入居さんのお部屋を訪問してバイタルサインの測定や処置をします。個室なのでプライバシーも確保されていますし、しっかり会話できる方も多いので利用者さんの話に付き合っているとついついお部屋に長居してしまうことも…。
話せる方が多いため、入居者さんの要求が多く、スタッフとのもめ事は多い印象でした。

ふむふむ。まとめるとこんなかんじですね↓↓
特養
- 重症度の高い寝たきりの人、認知症の人が多い
- 医療ケアが多い
- 看護師の業務も多い
看護技術を生かしたい人
医療ケアをしたい人
有料老人ホーム
- 話せる人が多い
- どちらかというと、介護メイン
- 看護師の業務少なめ。夜勤なしの勤務もある
お年寄りとゆっくり関わりたい人
日勤のみで働きたい人
介護施設で働いて大変だったこと

介護施設で大変だったことは何ですか?

よく言われることですが、やはり介護スタッフとの人間関係ですね。
不思議なことにどの介護施設で働いていても、看護師と介護スタッフがどうしたら良好な人間関係の築けるのか悩むことが多かったです。
基本的に施設では介護スタッフが不足しています。人手不足な中夜勤もこなして、疲れやストレスを抱えた職員は多いです。
始業前に夜勤者の送りを聞くのですが、認知症の入居者さんが眠らないので深夜付き添っていた、ベッドサイドでの放尿が数人、明け方の転倒・出血・・・などと壮絶な夜間の状況を伝える申し送りが多々あります。
眠剤の調整を行っていても50名以上いる入居者さんみんなが落ち着いて入眠できる夜はそうないですよね。
多忙な職場なのでピリピリした雰囲気になるのは仕方がないですし、看護師にも協力してほしいと思う場面は多々あると思います。

おぉ、施設の介護スタッフは大変なんですね!看護師はあまり介護の仕事はしないのですか?

そんなことはないですが、看護師さんの中にはオムツ交換など介護の仕事は一切しませんと断言している方もいるんです。時折介護士さんとの関係がピリピリすることも…。

うわぁーーーそれはひどい
私は、臀部の皮膚ケアなどの際にオムツ交換を一緒に行ったり、睡眠や排便コントロールが図れるよう睡眠状況や排便状況を主治医に伝えて薬剤を調整したり、できるだけ入居者さんのためになり、介護スタッフの業務を軽減できることにも力を入れていました。
介護スタッフとの人間関係が良好だと、夜間の褥瘡ケアや体位交換の依頼もしやすいですし、介護スタッフも入居者のちょっとした変化などを看護師に伝えやすくなるので、個人的には、介護施設において良好な人間関係はとても大切だと思います。
施設によって看護師の忙しさは違うので、看護師間で業務を統一しながら、介護スタッフとのちょうどよい役割分担ができればよいかなと思います。

なるほど。状態をアセスメントして主治医に伝えるのは看護師ならではの介入ですね。看護師にできる仕事をしつつ、協力しあってお互い気持ちよく仕事できるように…良好な人間関係を築くために努力も大切ですね!

そうですね。それともうひとつ大変だったのは、転倒です
介護施設では転倒が多い
転倒が多いのは、介護施設に共通して言えること。
転倒からの骨折、入院、退院後ADLが低下し戻ってこられることは非常に多いです。
転倒時に頭を打っている場合は必ず受診する必要があるのですが、転倒現場を見ていないときの判断が非常に難しかったです。本人が頭は打っていないと言っていても、よく見ると腫れていたり傷があったり…
介護施設には医師がいないので、日頃からの看護師の観察、アセスメントが非常に重要になります。

あぁーそういうの、病院でもありますね。
病院は転倒リスクがあると、こけないこと最優先で患者さんを動かさないようにするけど、施設は比較的自由なので難しいところですね。
介護施設で働く看護師のやりがいは?

介護施設で働く看護師のやりがいはどんなことですか?

些細なことですが、一人でも多くの利用者さんの生活の困りごとの支援、解決への手助けができ、それによって本人やご家族に感謝されるとやはり嬉しいですよね。
バイタルサインの測定、ケアや処置、排泄・睡眠・疼痛コントロールなど、できることはたくさんあります。医師がいない分、看護師の担う役割は非常に大きいと感じました。
暴言を吐かれ、イライラしてしまうことも正直ありましたが、おじいちゃんおばあちゃんが大好きな私は、杖を振り回されようが、それが足に当たろうが(笑)、感情的にならずに基本は笑顔で働くことができました。
人生の大先輩の言葉にうるっときて励まされたり、勉強になることも多いです。
変わらない毎日でも、施設それぞれに、季節に応じたイベントが計画されているので、餅つきやお花見、ハロウィンやクリスマスなど、みんなで一緒にわいわいできて楽しいですよ。

なるほど、病院とはまた違って施設ならではのやりがいがあるんですね。
どうもありがとうございました!
【プロフィール】
RIHO 福岡在住。総合病院に7年勤務。その後は派遣看護師として介護施設やクリニック等に勤務。趣味は読書、アロマ、ヨガ。
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